文を敲く

読書記録とその他雑記。

写真 -「残念和食にもワケがある」

最近ではあまり話題*1にならなくなった日本の食卓事情の変化を、著者が長年行ってきた調査を基に分析した本である。目次だけでも「給食で初めて煮物を食べる子どもたち」「お子様用プレートで食べる大人たち」などなかなかのインパクトがある。

目次以上に強烈な印象を与えるのが本書に収められた写真だ。そのほとんどがシズル感ゼロである。「著者が指定したレンズ付きフィルム」で撮られたものだからだと思われる。普段目にする「食卓」の写真は意識的もしくは無意識に加工された写真ばかりであると強く意識させられた。

*1:10年以上前には「個食」「孤食」「食育」など新語と共に食卓の変化が議題として何かと浮上していたように思われる

POSを補う手法 -「スリップの技法」

書籍に挟まれている「スリップ」と呼ばれる短冊状の紙を用いたデータ分析テクニック入門書である。POSだけでは分からない「売れ筋」を読み解く手法がいろいろと記載されている。書籍以外の分野にも応用は可能だと思われる。

とはいえ「「愛国本」の売れ筋を積むことも書店の重要な仕事と考える(P.162)」など若干気がかりになる記述も見受けられた。愛国本(という体でヘイトを煽る書籍群)を「積む」ことで売り上げと引き換えに失うものは少なくないのではないか。

2010年代の台湾 -「台湾の若者を知りたい」

2010年代の台湾の学生生活が主に記された本である。学校制度や生活スタイルの違いなどが詳しく紹介されていて面白く読むことが出来た。

一番驚きだったのがある学校のクラス目標に「(LINEのクラス連絡用グループは)既読スルーはしない」というものがあると紹介されていたことだ。先日台湾旅行した時に、なんとなく現地の放送を見ていたらLINEのCMがそこそこ流れていて感嘆したが、まさかここまで普及しているとは思いもしなかった。

本書には「影」の部分はほとんど書かれていないが、一部の学生は辛い学生生活を送っているであろうことは想像に難くない。