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読書記録とその他雑記。

是空 -「海うそ」

海うそ

海うそ

主人公が「昭和初期」と「それから50年後」の二回に分けて南九州の島を訪れる物語である。「昭和初期」での訪問では読者に「海うそ」などの謎が提示され、二度目の訪問でその謎が明らかになる趣向となっている。

半世紀の間に舞台となる島は大きく変わってしまうのだが、その変わり様が意外だった。「裏庭」や「沼地のある森を抜けて」など著者の作品をこれまで何冊も読んできた読者なら主人公と共に驚いてしまうだろう。