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読書記録とその他雑記。

皮肉 -「ニッポン景観論」

ニッポン景観論 (集英社新書)

ニッポン景観論 (集英社新書)

文化に魅せられて日本に暮らすアメリカ出身の著者が、現代日本の景観問題を明快に論じた本だ。「ダメな例」の写真が満載で、キャプションもいちいち皮肉がきいていて面白い。とりわけ「日本の景観テクノロジーを世界に」と題した一節では、日本的の典型的な汚い景観と外国の観光地とコラージュしていて目を引いた。この本を読めばいやでも日本の景観のレベルの低さを自覚せざるを得ないだろう。私は著者の意見に心から賛意を送りたい。

とはいえ、山口晃をはじめ電柱をむしろ肯定的に作品に取り入れる画家も多い。倒錯した状況となったことが景観問題の事態を複雑にしているとも思う。