文を敲く

読書記録とその他雑記。

狂気か夢か現実か - 「ブリキの太鼓」

短編の集積のような構成ではあるがそれぞれの章の密度が恐ろしく高い。また文章の表現や展開も手を変え品を変え飽きさせない。第二次世界大戦を直視しつつも、3歳で身体的成長が止まった道化たる主人公*1はどこまでも軽快であって、登場人物の相次ぐ死さえもネタになっている。

*1:身体的成長を止めた主人公の物語というと「キノの旅」も思い出す