文を敲く

読書記録とその他雑記。

同人趣味の先駆けか -「江戸の本づくし」

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本書は江戸時代に出版された「黄表紙」本のひとつ「御存商売者」を事細かに読み解いたものである。ただ現代語訳を読んだだけではわからない、挿絵や科白の背景まで詳細に解説されている。黄表紙についての知識をほとんど持ち合わせていなかった私にとっては新鮮な印象を受ける事が多かった。

著者によれば黄表紙はわずかな紙幅にパロディにお約束、そして内輪の者だけが楽しめたネタなどが散りばめられていたという。系譜的には断絶しているとしても、やはり現代における同人誌を連想してしまう。

私もこの手の冊子を作ってみたいものではある。誰が読むのかという問題は付きまとうが。