文を敲く

読書記録とその他雑記。

『「描写」に耽溺することこそが「文学」を読むという行為の愉悦の根幹だったはずだ。(p.202)』-「感情化する社会」

著者の持つ問題意識とその批評は私には興味深く読めるのだが、ネット上ではあまり言及されていないのが個人的には不思議である。現行社会のシステムに対して批判的だからだろうか。

村上春樹の近作『色彩を持たない〜』は歴史修正主義への好意的な寓話*1であって、内容的には百田尚樹の著作と大差がないという評価は注目に値すると思う。「文学」の愉しみの「変質」とでもいうべき論点は個人的にも少し考えてみたいところではある。

*1:本書中では言及されてはいないが、「田崎つくる≒新しい歴史教科書をつくる会」と連想せざるを得ない