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読書記録とその他雑記。

狭義の「広告」は無かった - 「戦争と広告」

「広告」という言葉から一般的に想起される「ポスター」や「新聞広告」の類は本書ではほとんど取り上げられていない。主として「臣民」向けの戦争プロパガンダ雑誌として広く読まれた『写真週報』や『アサヒグラフ』の誌面の紹介が中心となっている。著者は「広告」を「広く告げ知らせる」という意味で用いているためである。

各誌面の内容や「大東亜建設博覧会」の開催概要などは初見のものが多く興味深く読めたが、書名は「戦争とPR」とするべきだったのでないかと感じた。「広く告げ知らせる」に重きを置くならPRの方が個人的にはしっくりとくる。