文を敲く

読書記録とその他雑記。

小さな政府 - 「里山資本主義」

利益の極大化を目指す「マネー資本主義」によって地域社会は疲弊する一方である。依存するのはあまりにも危ない。そこでバックアップとして「里山」「地域」に根付いた資本主義を育てようというのが本書の趣旨である。過疎化で衰退する一方と思われていた地域でも発想の転換で人口が増え始めた事例などが紹介されている。

本書ではオーストリアのエネルギー事情が紹介されている。原発は作ったものの反対運動により稼働はせず、パイプラインでのガス供給に頼っていたが、今は豊富な森林資源を生かして木質バイオガスエネルギーに力を入れているという。

過疎だからといってそのまま諦める必要はないということを本書は教えてくれる。その点元気が出る本ともいえるだろう。「資本主義」と銘打っているためか、政府や自治体の役割を著者は重視していないようだ。自助努力なのである。