古びない - 「丸山眞男セレクション」
- 作者: 丸山眞男,杉田敦
- 出版社/メーカー: 平凡社
- 発売日: 2010/04/10
- メディア: 単行本(ソフトカバー)
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現実とはこの国では既成事実と等置されます。現実的たれということは、既成事実に屈服せよということにはかなりません。現実が所与性と過去性においてだけ捉えられるとき、それは容易に諦観に転化します。「現実だから仕方がない」というふうに、現実はいつも「仕方のない」過去なのです。(「丸山眞男セレクション」P.247より)
この論考が発表されたのは1952年であるという。半世紀以上前のことだ。だが全く古さを感じさせない。21世紀も15年経とうかとする今でも「現実的ではない」「非現実的」「現実を直視せよ」「現実的たれ」といった批判が世間一般に流通し、好評を博しているためである。古さを感じさせないことに危機感を持たなければならない。