文を敲く

読書記録とその他雑記。

懇切 - 「イスラーム 生と死と聖戦」

イスラム国」とのコネクションで一躍時の人となった著者によるイスラームの思想入門である。帯には「ムスリムの死生観をわかりやすく解説する」と書かれているが、その煽り文句を裏切らない内容であった。中学生でもすらすらと読める文章でありながら、ジハードなど押さえるべき要点はきちんと押さえられているのだ。

本書のとりわけ面白いところは「ムスリムから見たアニミズム」についての記述だろう。日本の八百万の神ムスリム的にはこのようにも解釈できるのかと感嘆した。イスラーム法学者の著者の思想はファンダメンタルに近いところにあるため、時折突飛な話も出てくるが、だからこそ「イスラム国」がカリフを擁立しようとする背景が見えてくる面もあると思う。