文を敲く

読書記録とその他雑記。2018年11月に「はてなダイアリー」から移転してきました。

収穫多し - 「批評メディア論」

批評メディア論――戦前期日本の論壇と文壇

批評メディア論――戦前期日本の論壇と文壇

ブックデザインが洒落ている。ジャケット買いする価値があるレベルだ。

本書の内容は日本の新聞や総合雑誌でおなじみの「論壇時評」「文芸時評」「座談会」「匿名批評」を「メディア」として捉え、これらが誕生した経緯や特質、そしてその周囲に形成された「論壇」と「文壇」について論じた本である。「改造」の懸賞論文の順位*1がそのまま当時の批評地図となっていたという指摘は新鮮だった。そのほか本書で得られた収穫は多い。

本書が扱う範囲は「戦前」に限定されている。しかし2000年代以降でもっとも活発な批評メディアとなった「2ちゃんねる」「ブログ」「まとめブログ」「Twitter」と比較してみれば、戦前批評メディアの状況との類似性に驚くしかないだろう。これからウェブにおける批評を研究するなら必読の文献だ。

*1:一等:宮本顕治、二等:小林秀雄、選外佳作:春山行夫