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読書記録とその他雑記。

過剰 -「神聖喜劇(二)」

神聖喜劇〈第2巻〉 (光文社文庫)

神聖喜劇〈第2巻〉 (光文社文庫)

やはり喜劇と銘打たれているだけあって面白い。とはいえ著者は単なるギャグでは終わらせてくれない。かなり隠微な風刺も時折入っているので、乾いた笑いが湧いてくるのだ。アイデアの引き出しがとにかく多い著者のサービス精神なのだろう。

われは知る、テロリストの
かなしき心を――
言葉とおこなひとを分ちがたき
ただひとつの心を、
奪はれたる言葉のかはりに
おこなひをもて語らむとする心を、
われとわがからだを敵に擲げつくる心を――
しかして、そは真面目にして熱心なる人の常に有つかなしみなり。

本巻でもさまざまな文献からの膨大な引用が行われていたが、その中でもとりわけ印象に残った石川啄木の詩「ココアのひと匙」の一部を記した。もし、この詩が「今日」朝日新聞にでも掲載されたら炎上すること間違いなしだろう。彼らは先に行ってしまったのか、それとも先祖返りしたのか。まだ私にはわからない。