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読書記録とその他雑記。

伏線 - 「神聖喜劇(一)」

神聖喜劇〈第1巻〉 (光文社文庫)

神聖喜劇〈第1巻〉 (光文社文庫)

全5巻*1を半年ぐらいかけて少しずつ読んでいこうと思っていたが、第一巻を二週ほどで読み終えてしまった。超人的な記憶力を持つ主人公の回想と独白と饒舌な台詞でストーリーはしばしば脱線していく。それでも読むスピードが速くなってしまったのは伏線のおかげだと思う。

主人公が軍に入営してからほどなくして、同期の兵が「営門を潜って軍服を着れば、裸かの人間同士の暮らしかと思うとったら、ここにも世の中の何やかやがひっついて来とる」とつぶやく。これは日本文学なら避けて通れないタイプの伏線なので、私は立てた伏線をいかに回収するのか気になって仕方がなくなってしまったのだ。

なおこのつぶやきは伏線の回収時にきちんと使われていて苦笑せざるを得なかった。

*1:なお、私が読んでいるのは古書店で購入した文春文庫版である。五巻セットで千円台で売られていたので買ったが、翌週には同じ五巻セットが三割引きで売られているのを見かけてしまった。