文を敲く

読書記録とその他雑記。

ぼっち論 - 「ライトノベルのなかの現代日本」

本文は200ページにも満たないため、ライトな新書のように思えるかもしれない。しかし本書では村上春樹村上龍らとの対比を行いながらライトノベルを日本文学史上に位置づけようという試みが行われており、中身は思っていたよりも濃い。

ライトノベルが「大衆」や「ポップ」と距離を置いているという指摘やまた2000年代後半から盛んに使われるようになった「ぼっち」という類型の分析など興味深い話が多かった。

とりわけ、ライトノベル作家ペンネームは「入間人間」や「渡航」などアイデンティティが揺らぎ気味な傾向があるという指摘が印象に残っている。このブログを書く私のペンネーム「何某亭」もまさにその類であり、私自身がラノベの感性に少なからぬ影響を受けてきたことを指摘されたかのような気分だった。