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世界を知るカギ - 「謎の独立国家ソマリランド」

謎の独立国家ソマリランド

謎の独立国家ソマリランド

どこの国からも承認を受けずにソマリアからほぼ独立してしまった「ソマリランド」。海賊ビジネスで成り立つ「プントランド」。そして無政府状態が20年以上続く「ソマリア」。「乱世戦国時代」としか言いがたい地域の実情を身も蓋もなく記述したのが本書だ。

ソマリ人の図々しさに呆れ、無政府状態になったことで通貨が安定したことに驚き、「難民キャンプ」の実情や内戦が続く首都の実情に感嘆する。「へえ」といった軽い反応を許さない生々しくバカバカしい記述の連続だ。ソマリアの複雑な政治事情も「平氏」「源氏」「奥州藤原氏」といった具合に日本人に親しみのあるキーワードを借用して解説されているのでイメージがしやすい。

グローバル化が進展していくと究極的にはソマリアソマリランドのようになっていくのではないか。「イスラム国」を巡る諸問題について考えるにもよいヒントになる本だと思う。