文を敲く

読書記録とその他雑記。

余韻 - 「リヴィエラを撃て(下)」

リヴィエラを撃て〈下〉 新潮文庫

リヴィエラを撃て〈下〉 新潮文庫

面白い小説はクライマックスで読者の興奮を極限まで高めるが、終章では優雅な余韻を残して静かに終わる。興奮の絶頂で物語が突如終わることは無いのだ。本書で味わえた余韻はきわめて豊かなものだった。物語を読む醍醐味を良く知っている著者だからこそ書けるものだと思う。

本書は最初から最後までシリアスな場面の連続である。しかし細部に注目すればIRAテロリストたちのコードネームのようなネタも仕込まれていたりするので油断ならない。