文を敲く

読書記録とその他雑記。

「おすすめの本教えて」とリクエストされても困る

私は世間の人よりはたくさん本を読んでいるので知人からは読書家だと目されている。そのためか時折「おすすめの本教えて」とリクエストことがある*1。このリクエストに私は困ってしまうのだ。以下にその理由を記す。

私はあなたの事を知らない

本といっても千差万別である。そして人が本に求めるものも同様である。通勤通学中の暇潰しを求めている人もいれば、知的好奇心を満足させたい人もいる。また普段から活字に親しんでいる人と本をほとんど読まない人では薦められる本も異なってくる。

「おすすめの本教えて」と大雑把にリクエストされても、その当人が本に対して何を求めているのか、どの程度読書に親しんでいるのか私には分からないので答えようが無い。当て推量でおすすめしても当人の期待に応えられる自信が無いのだ。私は本好きではあるが本のソムリエではない。

万人に薦められるような本が思い浮かばない

ところでマンガや音楽では自分の好きな作品を「布教」する信者は少なくない。私の友人も積極的に洋楽の布教活動をしていた。「自分が好きな作品はきっと知人も好きになる」という確信があるから出来るのだ。

だが私の読んでいる本の多くは万人受けしないという確信だけは持っている。私が本を読んでいると「何読んでいるの」と知人は尋ねることが多いので題名を答えるか表紙を見せて大雑把な概要を述べるが、「今度買う」「読み終わったら貸して」といわれたことはほとんど無いからだ。

「おすすめしない本教えて」ならお気軽に

「おすすめの本」ではなく「おすすめ出来ない本」「読まないほうが良い本」ならいくらでも紹介できる。しかし、いまだかつて尋ねられたことは無い。残念である。

*1:本稿では社交辞令である可能性を考慮しない