文を敲く

読書記録とその他雑記。

爛熟 - 「バルタザールの遍歴」

バルタザールの遍歴 (文春文庫)

バルタザールの遍歴 (文春文庫)

本書は目次だけでも作者の文学的素養を感じずにはいられない。最近の小説ではほとんど見かけることのなくなった丁寧な目次なのである。もちろん本文も期待に違わず衒学的で「失われた時を求めて」や「薔薇の名前」のような雰囲気の小説が好きな人間には堪らない魅力で溢れている。

初めのうちは読み進めるのに時間がかかるかもしれない。しかし派手な逃避行や大活劇もありページを捲る手は速まること間違いなしだ。尚、私が読んだのは現在絶版となっている新潮文庫版である。