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関門か登竜門 -「哲学入門」(戸田山和久)

哲学入門 (ちくま新書)

哲学入門 (ちくま新書)

「人間には自由意思があるのか」「人生に意味はあるのか」と日頃から考えている人や同時代の哲学者の考えに触れてみたい人にとりわけオススメである。文章もかしこまった論文調ではなく、クルーグマンのような軽めの文体なので気軽に読み始めることが出来る。もっとも端々に出てくるネタには「おっさんホイホイ」としかいいようがないものも混じっているので要注意。

しかし本書はソクラテスニーチェも登場しない(カントはちょっとだけ登場する)。哲学史をすっ飛ばしていきなり本題に踏み込むため、哲学についての知識がほぼ白紙の状態だと最後まで読み通すのは難しい。「ソフィーの世界」か他の哲学入門をあらかじめ読んでおくべきである。本書は「入門」と銘打たれてはいるが、人によっては関門か登竜門のように思えるだろう。