文を敲く

読書記録とその他雑記。

暇潰しの変化

新聞や雑誌は暇つぶしの王者だった。銀行窓口や病院の待合室、喫茶店など暇が出来る場所にはもれなく新聞や雑誌が常備され、退屈に悩まされる人々に重宝されてきた。しかしこの数年で暇つぶしの王者の座はスマホタブレットなどの端末、つまりネットへと移っていった。

人はスマホタブレットで如何に暇つぶしを行っているか。ある者はLINEで友人との終わりなき日常のやり取りを続け、ある者はパズドラなどのゲームにしばしの退屈を紛らわせ、またある者はTwitterをダラダラと閲覧している。いずれも金をかけずとも暇潰しが出来る点で共通している。

プロによって書かれた質の高い記事はネットではあまり人気が無い。有料だからだ。それに暇つぶし目的だと高品質な物である必要性が無い。週刊誌の煽り見出しを煎じ詰めたような「まとめブログ」か最近CMをはじめたGunosyで間に合う。

そして無料に慣れるとスキマ時間の暇潰しに費用をかけることはついつい躊躇してしまう。だが長い目で見ると無料のものばかり有難がることは良貨を駆逐する過程となり、ネットというコモンズはコモンズの悲劇を迎えてしまう可能性も否定できないし現にその方向に向かいつつあると思う。そしてこの文章さえも悪貨である。内容に何の新奇性もないからだ。