文を敲く

読書記録とその他雑記。

変わらぬ意識 - 「言葉と戦車を見すえて」

言葉と戦車を見すえて (ちくま学芸文庫)

言葉と戦車を見すえて (ちくま学芸文庫)

プラハの春ソ連侵攻を論じた「言葉と戦車」や教科書検定を論じた「教科書検閲の病理」などの論考が収められた評論選である。過去の出来事を論じたものも少なくないが、射程が広いので今読んでも新鮮だ。たとえば「教科書検閲の病理」で問題視された言説は今もなおバカの一つ覚えのように繰り返されていて「やんぬるかな」と思わずにはいられない。

加藤周一といえば抑えた筆致と論考のイメージが強かったが、若き日に書かれた「天皇制を論ず」は旧仮名遣いながらもエネルギッシュな文章で意外だった。