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読書記録とその他雑記。

激変 - 「コンテナ物語」

コンテナ物語―世界を変えたのは「箱」の発明だった

コンテナ物語―世界を変えたのは「箱」の発明だった

以前本書がブログで紹介されているのを見て興味を持ちこのたびようやく読了する。コンテナの普及によって港湾労働者の仕事と共同体が消滅し、グローバル経済が大きく進展したことがよく分かる。今は金融都市のイメージが強いニューヨークやロンドンがかつては一大港湾都市であったというのが個人的には意外だった。アフリカが「世界の工場」になっていない理由も考察されている。

おそらく今後も様々な発明によって様々な職業が消滅する。港湾労働者は団結することでわずかばかりの補償を得ることができたが、これから消える仕事に充実する人間はちっぽけな保障さえ得られるか疑わしいか。職業をアイデンティティにすることは困難になっていくのだろうが、「仕事人間」の退職後の姿を見ても明らかな通り新たなアイデンティティを得るのもまた難しい。