文を敲く

読書記録とその他雑記。

理想と現実 -「平和主義とは何か」

いまや日本では風前の灯になりつつある風情のある平和主義の考え方について紹介する新書。平和主義者にしばしば突きつけられる「愛する人が襲われても抵抗しないのか」という問いが抱える問題点が丁寧に指摘されていて興味深かった。ただしこの問いに対する明確な回答は提示されていない。私も平和主義者を自任しているが、回答することが出来ない。

平和主義という理想は揺れ動く現実の前では脆いように思える。だが理想なき社会が果たして素晴らしい社会なのだろうか。そのため私は平和主義を安易に投げ捨てるようなことは出来ない。