文を敲く

読書記録とその他雑記。

煩悩 - 「門」

門 (新潮文庫)

門 (新潮文庫)

これまで読んできた「三四郎」「それから」の続編的位置にある作品。「三四郎」の主人公は学生、「それから」の主人公は高等遊民(あるいはニートの先駆け)、そして本作の主人公は所帯持ちの役人である。主人公は三角関係がもたらした因果応報らしきものに悩み続けて遂には禅寺の門をくぐる。とはいえ完全に出家してしまうという訳でもなく元の木阿弥に近い状態で物語は終わる。煩悩から逃れることは難しいのだ。

漱石の三部作をふとすべて読んでみたが、人には積極的には勧められないというのが正直な感想だ。おそらく今の私の問題意識とは違ったところで物語が展開されているから作品に没入することが難しかったからだと思う。