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読書記録とその他雑記。

意外な結末 - 「死者の奢り・飼育」

死者の奢り・飼育 (新潮文庫)

死者の奢り・飼育 (新潮文庫)

死体を運ぶという「死者の奢り」や捕虜にした黒人兵を家畜として扱う「飼育」など6つの短編を集めた作品。20代のうちにこんな作品を書き上げたのだから大江健三郎は只者ではないのも納得。ストーリーはいずれも練り込まれていて読みごたえがある。

「死者の奢り」は意外な結末にちょっと笑ってしまった。「戦いの今日」には脱走兵をかくまう学生が登場するがなぜか既視感があった。以前どこかで見た戦後を舞台にしたドラマの脚本だと気が付く。おそらくそのドラマの元ネタがこの作品なのだろう。