文を敲く

読書記録とその他雑記。2018年11月に「はてなダイアリー」から移転してきました。

正典と異本 - 「異本論」

異本論 (ちくま文庫)

異本論 (ちくま文庫)

印刷技術が普及してからつい最近まで「異本」や「偽本」は亜流もしくは二番煎じ的な扱いがされていた。しかし作者は「異本」の重要性をシェイクスピアなどを取り上げながら論じる。「異本」は二次創作の一種であると私は考える。しかし現代の二次創作と違うのは「異本」の方が完成度が高い場合はそれまでの「正典」を押しのけて「正典」の座についてしまうといったところだ。

アリストテレスの「詩学」は現在残っている「悲劇」についての記述に加えて「喜劇」に関する記述もあったのではないかといわれている。なぜ「悲劇」が残って「喜劇」は湮滅してしまったのか。その理由を考えるために使えるかもしれない記述もあって興味深かった。